【ものには旬というものがある】
- 株式会社 SALES AGENCY
- 2023年11月30日
- 読了時間: 2分
21歳の女性の話。
電話だけの連絡、それも、電話を受けた事務員からの連絡だけの話。正確ではない話。
今日の明け方4時ごろ、近くのN病院に、腹痛を主訴にして急患でかかった21歳の女性、右下腹部痛があり、血液中の白血球も1万7千と高く、急性虫垂炎が疑われているとのこと。なぜか、母親だけが夕方の5時少し前に来て、こちらの病院に入院させてくれとのこと。病院からの紹介状とレントゲン写真を持っていると。連絡を受けるも、今から手術なので、1,2時間待つことになるがいいかという連絡を入れる。
待てないということで、帰ったとのこと。
手術は1時間で終わったが、終わって、いったい何だろうということになった。
むこうの病院に不満があって転院したいのか。何か、むこうのスタッフとトラブルがあったのだろうか。
でも、電話もなしで、突然、入院させてくれと来院し、1時間も待てないといって帰っていく母親。
事務員の追加の話。
明日、娘を退院させて、こちらの病院の外来にかかると言って帰ったとのこと。
自己中心的な日本人が増えてとはいえ、これはかなりのものだな、という意見が大勢を占めた。
しかし、それはさておき、その21歳の女性は、そんなに待てる状況なのか。もし、本当に急性虫垂炎であるとしたら、明日まで待てるのか、明日、来院されても、すぐには手術もできない。また、何時間かは、待たせることになる。でも、母親が待てるか待てないかではなく、その患者の全身状態は待てるのか。
ものには旬というものがある。ゆっくり考えて、最善の選択をと望むのは、ある一定の比率で存在する人々の考え方だ。しかし、ものにはそれが不可能な状況もあることを理解しなければならない。
最善の選択なんて、土台無理な状況があるのだ。
急性の病気は、選択を待たない。
最善の選択の末、最善のベッドの上で、最悪の病状になってしまうことだってある。
人は、このごろ、季節感のない日常とともに忘れているような気がする。
ものには旬というものがある。
君たちレジデントには、今、やらなければならないことがあり、卒後何年もたってからでは手遅れになることもある。結婚だって、旬がある。旬を逃せば、最善の結婚が最悪の状況下にある、という事だってある。(潮時ということで言われることもあるが。)もちろん、それでも幸せということはあるだろうが。
子育てだって旬がある。
つまり、人生、人間の時間的性質が絡んでいる。
いま、その女性は、うまい具合に、医療を受けているのだろうか。
善意の母親が娘を救うのか、地獄に落とすのか。とにかく、この夜を越えると、その親子は、やってくる。
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