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【潰瘍性大腸炎と大腸癌】

  • 株式会社 SALES AGENCY
  • 2023年11月30日
  • 読了時間: 4分

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜〔表面の層です〕に炎症がおこる病気です。直腸の下端から口側へ連続性に病変がつながっているのが、特徴です。


直腸だけにとどまる直腸炎型と、左の結腸にとどまる左結腸炎型と大腸全部に炎症が及ぶ全大腸炎型に分類されます。


炎症が強い活動期と、炎症がおさまっている寛解期を繰り返します。 これは、どんな家庭の医学書にも書いてあることですね。他のウェブサイトにも書いてあるでしょ。 ここでは、一番大切な、患者さんにとって気になることから話しましょう。 潰瘍性大腸炎と診断された患者さんにとって一番気になるのは、寛解期(治療が奏功して炎症が収まった時期)に入った後で、また、炎症が始まったのだろうか、という再燃といわれる点ですね。


大腸の炎症の有無は、どんな症状と最も関係があるのでしょうか。私の経験では、粘血便がもっとも確かな指標である印象です。下痢は、寛解期であっても起こることが多いですね。心配しないように。


「下痢があるのですか。で、いま、粘血便はありますか。」 次に気になることは、潰瘍性大腸炎と大腸癌の関係のようです。潰瘍性大腸炎は大腸癌になるのでしょうか。



いろいろな病院にかかっていた潰瘍性大腸炎の患者さんが、大腸癌になりやすいと言われて、心配になって、私の外来にやってきます。潰瘍性大腸炎と大腸癌の関係をまったく認識していないドクターも困り者ですが、むやみに患者さんを心配させるのも、また、罪つくりだと思うのです。 潰瘍性大腸炎と大腸癌の関係は、欧米の病院からの報告で警告されました。 それは、潰瘍性大腸炎の発症から10年以上経過した、いわゆる「長期例」に大腸癌の発生が多い、というものでした。それで、日本でも、潰瘍性大腸炎に大腸癌が多く発生するから、大変!大変!ということになってしまったのです。そして、それを研究する日本の学者も出現するわけですが、でも、どのくらい、「大変!大変!」だったのでしょうか。と、いいますのは、潰瘍性大腸炎は、今でこそ、患者が増加して、(食生活の変化で、潰瘍性大腸炎が増えたのだ-ということになっていますが、真偽のほどは、わかりませんよ。学者様が言っているだけですから。)、よく、見かける病気になってきましたが、以前は、日本では珍しい病気でした。大腸癌も実は、世界水準からすれば、とても少ない国だったのです。そのような、日本という国で、潰瘍性大腸炎に大腸癌が発生しやすいといっても、実際、当時の日本には潰瘍性大腸炎の患者がいないのですから、あまりピンと来ないし、大事な税金を使って、そのような研究をするのも、学問としてはいいのかもしれませんが、日本人に役立つ医療のための研究としては〔医学の研究とは本来そのようであるべきです〕、当時は、だいぶ的外れなものだったのではないでしょうか。経済的に緊迫した現在の感覚から言えば、そうでしょ? そして、私の1980年代後半までの文献的な調査でも、日本人の潰瘍性大腸炎の数から考えて、潰瘍性大腸炎に大腸癌が多く発生するという結論は、日本では、???だったのです。もちろん、欧米で言われるように、普通の大腸癌と異なる、潰瘍性大腸炎関連の大腸癌の特徴をもつ大腸癌の発生する特徴はあるのですが。そして、それは、普通の大腸癌よりも、診断が難しく、そのため、発見が遅れ、術後の経過も芳しくない、という特徴でしたが。 (その当時私が経験した潰瘍性大腸炎に大腸がんが発生して患者さんを学会に報告した時、ちょうど日本で100例を超えたときで、日本としては記念的な論文というわけでした。でも、日本で100例、というのはとても珍しいということです。)

では、大腸癌がふえ、潰瘍性大腸炎も増えた、現在の日本ではどうなの?という質問は、とても的を得ていますね。現在の調査では、長期間をへた潰瘍性大腸炎には大腸癌が発生しやすいという、従来の結論を踏襲する結論になっているようです。(どのくらい本当なのかなあー)でも、やはり、潰瘍性大腸炎に発生した大腸癌にお目にかかることは、ほとんどないですね。ですから、潰瘍性大腸炎の方は、そんなに心配しなくていいと思います(私見です。しかし、その後、癌合併の大腸がんの報告が増えたのも事実です)。でも、大腸内視鏡検査で、毎年検査だけは受けていてください。注意報は出ているのですから。そして、大腸内視鏡検査を受けるなら、潰瘍性大腸炎に合併した大腸癌の経験のあるドクターに大腸内視鏡検査をしてもらうべきだと思います。といいますのは、潰瘍性大腸炎に合併する大腸癌は、発見が難しいからです。わたしは専門家ですから、今までに、数例経験があります(それでも数例ですよ)が、あの難しさは、何例か経験したものでないとわからないと思います。大腸内視鏡検査を何千例やっていても、あれらの症例の経験がないとちょっと難しい。痛い目にあいます。    【the web 大腸・肛門・骨盤底疾患スペシャル】

 
 
 

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