さいたま市の入院施設のある医療法人「さいたま新開橋クリニック」です。
内科、肛門科、消化器(胃腸科)、消化器内視鏡が専門の院長と、
眼科専門医の副院長、泌尿器専門医、循環器専門医、総合内科専門医、肝臓病専門医、糖尿病専門医の非常勤医師がおります。
胃内視鏡検査・大腸内視鏡検査・痔肛門手術を考えられている方はご相談ください。
小腸カプセル内視鏡とは
小腸は、胃と大腸の間にある、細くて長い腸です。
消化管を口から順にいいますと、口―咽頭喉頭―食道―胃―十二指腸―小腸(空腸―回腸)-大腸―肛門、となります。消化管を検査するときに、口、咽頭喉頭、食道、胃、十二指腸までは、胃カメラ(上部消化管内視鏡)で検査できますし、肛門と大腸もお尻から検査をする大腸内視鏡で検査することが可能です(もちろんその両方とも当院で検査可能です)。しかし、小腸は、胃や大腸の内視鏡では届かないため検査ができず、今まで直接カメラで見ることはできませんでした。小腸は長らく「暗黒大陸」と呼ばれ、小腸疾患の診断治療はあきらめられていました。
しかし、「小腸カプセル内視鏡」の登場によって時代は大きな変わり目を迎えました。
普通の薬よりやや大きめの(とはいえ苦痛なく飲める程度の大きさの)薬の形をしたカプセル(小腸カプセル内視鏡)をゴクンと飲むことにより、全長6~7mの長い小腸の粘膜を苦痛なく観察でき、その結果、今まで原因不明とされていた消化管出血や腹痛の診断が、何の痛みも苦しみもなく簡便に行えるようになりました。もちろん、保険適用です。
さいたま新開橋クリニックでは、今までは小腸の検査を積極的に行っておりませんでした。それは、カプセル内視鏡が製品化(2001年アメリカ、2007年日本)されたとはいえ、十分に日常臨床に耐えうる画像と読影ができないと感じていたからです。つまり、まだ、実験レベルと判断していたからです。しかし、この度、ギブン社の製品が新しいバージョンになり画像と解析ソフトが向上したのを契機に、院長自ら「小腸カプセル内視鏡検査」を体験し、十分に日常の診療に使えるのを確認しました。
カプセル内視鏡検査の設備を整え、2014年12月25日から本格的に導入しました。
次のような時にカプセル内視鏡が必要となります。
原因不明の消化管出血(黒色便、血便、原因不明の貧血、繰り返す便潜血反応陽性)です。
胃内視鏡検査でも大腸内視鏡検査でも、出血の原因がわからない原因不明の消化管出血の場合、小腸の病気が予想されます。
また、原因不明の腹痛、下痢などで小腸疾患が疑われる場合も小腸カプセル内視鏡がおこなわれます。胃内視鏡検査でも大腸内視鏡検査でもCT検査でも、原因がわからない場合、小腸カプセルが解決の糸口となることがあります。
カプセル内視鏡が実用化された当初、クローン病などの狭窄(腸が狭い状態)や通過障害(腸閉鎖等)が疑われる小腸疾患に対しては、カプセル内視鏡はその狭窄部に詰まってしまうことがあり禁忌とされていましたが、2012年7月に体内で崩壊することで狭い場所でも詰まることのない「偽物カプセル(パテンシーカプセル)」をあらかじめ使うことにより、小腸疾患のすべてに対してカプセル検査が可能となりました。
小腸の狭窄が疑われる方には、カプセル内視鏡を使用する前にこの偽物カプセルを飲んでいただき、約30時間後に偽物カプセルが肛門から出てくるかで、消化管が開通しているかの判定を行います(例:朝9時にカプセル内視鏡を内服、翌日午後3時に来院)。「開通している」と判断された場合はカプセル内視鏡の検査を行います。狭窄部がありカプセルが停滞した場合においても100時間~200時間以内にカプセルは自然崩壊します。
小腸カプセル内視鏡検査の手順
カプセル内視鏡検査は苦痛がなく、前投薬は必要ありません。また、カプセル内視鏡を飲み込んだ後は、通常の仕事や家事など日常生活を行うことができます。
【前日】
検査前日は、検査用の食事を摂取していただきます。
【当日】
①当日は飲食をしないで朝に病院に来ていただきます(日帰り入院の形で行います。)

2.腹部にデータレコーダー(小さな弁当箱大)を装着して準備完了です。これだけで準備完了です。

3.カプセルを少量の水と共に服用して検査開始となります。

4.カプセル内服して2時間後から飲水、4時間後からは食事が可能となります。

5.日中は自由行動で、どこへ行っても構いません。(激しい運動は避けてください。MRIやレントゲンの検査はしないでください。)

6.検査開始から約8時間後(夕方)に、腹部に貼ったレコーダーを外して検査終了です。ご苦労様でした。

【後日】
カプセル内視鏡は消化管の蠕動運動によって徐々に進みながら撮像を行い、最後は肛門より自然に排出されます。カプセル内視鏡は使い捨てです。便と一緒にトイレに流れてしまうこともありますが、小さいのでトイレがつまることはまずないでしょう。
カプセルが排出されたか分からない場合は、腹部単純X線検査で確認します。(2週間以上カプセルの排出が確認できない場合は、内視鏡で取り除くなどの処置が必要となります。)
このカプセルは約8時間にわたり毎秒2から6コマのカラー写真を撮影し、電波で送信します。撮影した写真はデータレコーダーに記録されます。それを後でコンピュータ画面で解読するのです。(実はこのコンピュータ画面の解析に医師は時間をかけるのです)
【1週間後に外来受診していただきます。】
1週間後に検査結果をお伝えします。カプセルが排出したかどうかわからないときはレントゲン写真も撮ります。小腸に病気がなければ安心できますし、病気が診断されればそれを治療することになります。
【合併症、禁忌について 】
カプセルが体外に排出されないことがあります。2週間以上場合には、小腸内視鏡を用いて回収を試みますが、困難な場合や病態によっては開腹手術が必要になることがあります。このためカプセル内視鏡を施行の際は、これらの処置・手術の必要性までご理解していただくことが必要となります。もっとも、カプセルが通過しないような病気がある場合は、どのみち、小腸内視鏡の精密検査や手術になる場合でしょうから、カプセル内視鏡の大きな欠点とは言えないかもしれません。
また、カプセルを飲み込めない方、電気医療機器が埋め込まれている方には使用できません。
【費用 】
当院では日帰り入院で小腸カプセル内視鏡検査を行っています。使い捨てカプセル本体の値段と検査診断料など診療費を含めて、保険適用3割負担で3万3千円ほどです。1割負担で1万1千円ほどです。また、偽物カプセルを使う場合や食事代に別途料金が掛かることがあります。
☆ 小腸内視鏡をご希望の方へ ☆
原因不明の消化管出血(黒色便、血便、原因不明の貧血、繰り返す便潜血反応陽性)、原因不明の腹痛、下痢などで小腸疾患が疑われる方は、ご相談ください。